灸に関する研究   
①血液に及ぼす影響
・白血球の増加:主に中性多核白血球とウィルスに対峙するリンパ球が血管内で
 多くなり、血管の周囲にも滲出し、施灸*後4~5時間で施灸部周囲に
 集中してくる。
 したがって、針治療同様に化膿性皮膚炎にも抗生物質同様の作用がある。
・血小板:増加する。したがって凝固作用が強まる。
・血糖値:一時上昇するが、しばらくすると正常値にもどる。
 インスリンが正常に分泌されてもインスリン抵抗性型というインスリンが機能
しないタイプもあり、必ずお灸で糖尿病が治るものではありません。
・赤血球:お灸を継続すると増加する。
・血液の補体:免疫力の主役である抗体の働きを助けるたんぱく質で
 ある補体を増加させる。すなわち免疫力向上作用がある。

*施灸=お灸をすること。
 
②皮フの組織学的変化
・上皮組織:半米粒大(径)のモグサ(艾)の燃焼の場合、約60度の熱刺激により
 一時変性するが、中止後は再生される。
・毛嚢:徐々に変性するが、施灸後9時間目には施灸部の毛嚢細胞が増殖してくる。
 中止後は周囲の毛嚢が再生され増殖してくる。
・皮下結合織:施灸でいったん変性消失した上皮組織や筋組織の間をつなぐ結合織の
 再生が行われる。
・弾性繊維:名の通りの弾力性に富んだ結合組織を構成する弾性繊維が増加する。
・血管とその周囲:血管充血作用。毛細血管壁細胞増殖 
 
③各種の生理機能に及ぼす影響
・血管:血管拡張作用。本態性高血圧治療として有効だが、熱すぎるとリスクを伴うので
 針治療をメインにすべき。(160以下の高血圧症の場合)
・ 肝臓:上腹部・足三里・背部の施灸で肝解毒機能が亢進する。
・胃の運動:活発になる。
 
④病気に対する作用 
・心臓機能促進作用:アドレナリン様物質の増加作用による。
・結核 糖尿病 眼疾患 胃疾患 神経痛 喘息  鬱
、認知症に有効。(お灸は補助)

*補助=必要に応じて薬と併用する必要有。
 
 
 灸を行った局所の組織タンパク体から熱分解物質が検出され、これが血液中
に吸収されていくために治療効果が出るのです。
この物質はヒスタミンに似た物質であることからヒストトキシンと名づけられ
その後製剤にされ、臨床試験で高血圧 神経痛 喘息などに有効であることが
立証された。(帝大薬理学教室主任教授 大沢勝)
 
 ★出典:「針灸の医学」長浜善夫 他  
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